熱帯低気圧渦変数(GSM・GEPS)
はじめに
気象庁で運用する全球数値予報モデル(GSM)及び全球アンサンブル数値予報システム(GEPS)を用いて算出した「熱帯低気圧渦変数」を提供します。世界気象機関(WMO)では主要な数値予報プロダクトが世界中で広く利用されるよう、提供すべき気象要素や算出方法、フォーマット等を定めています。「熱帯低気圧渦変数」は、WMO が推奨する算出方法等に則り、全球域における熱帯低気圧を追跡処理して、その中心位置や平均風速の半径といった特徴量を算出したものです。
2025(令和7)年9月30日00UTC(日本時間30日9時)初期値の資料から提供を開始しました。
提供するデータ
- 全球数値予報モデル(GSM)熱帯低気圧渦変数:(熱帯低気圧渦変数(GSM))
- 全球アンサンブル数値予報システム(GEPS)熱帯低気圧渦変数:(熱帯低気圧渦変数(GEPS))
ファイル名
・熱帯低気圧渦変数(GSM):
Z__C_RJTD_yyyyMMddhhmmss_GSM_SEQ_Ptcvor_FD0000-0600_bufr4.bin
・熱帯低気圧渦変数(GEPS):
Z__C_RJTD_yyyyMMddhhmmss_EPSG_SEQ_Ptcvor_FD0000-1100_bufr4.bin
要素
渦中心の位置 (緯度・経度)[deg]
海面更正気圧の最小 [Pa]
高度10mの最大風速の位置(緯度・経度)[deg]
高度10mの最大風速 [m/s]
四象限(※)の平均風速(28/34/48/64kt)半径 [m] ※北東象限、南東象限、南西象限、北西象限
初期値
00、12UTC(1日2回)
予報時間、予報時間間隔
・熱帯低気圧渦変数(GSM):
6日(144時間)まで(132時間までより先の延長予報も用いています。)、6時間毎
・熱帯低気圧渦変数(GEPS):
11日(264時間)まで、6時間毎
配信タイミング
・熱帯低気圧渦変数(GSM):
初期時刻から7時間15分以内
・熱帯低気圧渦変数(GEPS):
(00UTC初期値)06UTCまで
(12UTC初期値)20UTCまで
データ形式
国際気象通報式FM94 BUFR 二進形式汎用気 象通報式(第4版)
※略称:BUFR4
発表条件
北西太平洋域では気象庁の熱帯低気圧解析情報を、それ以外の海域では各海域におけるセンター等の熱帯低気圧の解析情報(※)を、それぞれ追跡処理の開始条件とし、数値予報システムの出力に基づき客観的に熱帯低気圧の追跡を行ないます。
※WMOの熱帯低気圧地区特別気象中枢(RSMC)、WMOの熱帯低気圧警報センター(TCWC)及び米国の合同台風警報センター(JTWC)のいずれかの解析情報。気象庁又はこれらRSMC等の解析情報のうちいずれの解析情報も得られなかった場合にはプロダクトを配信しません。
障害時やメンテナンス時の対応
システム障害等により、当該気象情報の作成が不可能となった場合、データの再送は行いません。あらかじめご承知おきください。また、一部メンバーの計算に不具合が発生した場合、計算が正常に行われたメンバーの結果のみを送信します。
利用上の留意点
(1) 熱帯低気圧渦変数は、数値予報モデルの出力に基づき、下記「熱帯低気圧追跡の計算方法 」 で算出したものです。気象庁の発表する台風情報(配信資料に関する仕様No11901~No11904。)とは異なる予測結果を出力することがあります。
(2) 熱帯低気圧渦変数を単に描画するだけならば問題ありませんが、使い方によっては台風予報とみなされる可能性があるため、すでに気象庁ホームページで公開している「予報業務許可等の申請の手引き」の考え方に沿って、以下の通りご利用ください。
①本情報のうちアンサンブル数値予報に関する要素については、アンサンブル数値予報として適切な使い方をしていただく必要があります。具体的には、全てのアンサンブルメンバーを示しつつ全体としての大まかな傾向を解説することは適切ですが、
「一部メンバーの可能性の高低を解説する」、「一部メンバーのみを表示する」、「一部メンバーを他のメンバーと異なる方法で表示する」、「一部または全部のメンバーを平均処理して示す」等の行為は適切ではありません。
②本情報を用いた解説が、気象庁が発表する台風情報の範囲から逸脱しないようにする必要があります。
熱帯低気圧追跡の計算方法
●追跡開始:
北西太平洋域では気象庁の熱帯低気圧解析情報を、それ以外の海域では各海域におけるセンター等の熱帯低気圧の解析情報を、それぞれ追跡処理の開始条件とします。
●追跡:
数値予報システムの出力に基づき、追跡終了の条件を満たさない限り、予報時間毎の渦の中心を追跡します。追跡にあたっては、海面更正気圧、大気下層の渦や気温、熱帯低気圧周辺の平均的な風などの情報から、熱帯低気圧の中心位置を検出します。
●追跡終了:
以下の条件を満たした場合、熱帯低気圧の追跡を終了します。
・渦中心の位置が北緯45°または南緯45°を超えたとき
・熱帯低気圧周辺の海面更正気圧や風速などの情報から、熱帯低気圧が衰弱したと判断する条件を満たした場合
・渦が暖気核構造を持つとする条件を満たさなくなったとき
技術資料
配信資料に関する仕様 No.11906
☞ 配信資料に関する仕様:こちら(気象庁ホームページ)
国際気象通報式・別冊
☞ 国際気象通報式・別冊:こちら(気象庁ホームページ)
配信資料に関する技術情報 第652号
☞ 配信資料に関する技術情報:こちら(気象庁ホームページ)
配信資料に関する技術情報 第652号 に付属するサンプルデータ
☞ こちらのページを参照してください。